新建ハウジング 第400号
経営者トップインタビュー
タマホーム代表取締役社長 玉木康裕
聞き手 新建新聞社社主・井澤和馬 |
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| ●人材教育と給与システム |
「金儲けの前に良き社会人たれ」
「固定給+金・金・金にならない程度の歩合給を」 |
| 井澤 |
これまでお聞きしてきた哲学―人づくり重視経営と教育システムは、創業当時から、玉木社長自身で考えられ決められたのでしょうか。 |
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| 玉木 |
もちろんそうです。目指してきたのはお客様も満足、職人さんも満足、会社も満足する家造りです。
家造りの過程には機械でできる部分もありますが、「良い家を造り上げた時、機械には満足がない。しかし人間にはプライド・達成感・満足感がある。心の問題だ」。 |
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このことを教育の基本においています。だから「タマホームの社員である前に、立派な社会人でないものはタマホームの社員にあらず」と言い続けています。「良き子供・良き大人・良き父・良き社会人たれ。たった一度の人生。仕事だけで人生を終わるのではなく、文化・芸術・音楽・スポーツ・趣味を愛し、ボランティアなど他人のお役にたち、仕事と人生・両方を大切に楽しめ」とも。人間形成が先で金儲けは後、これが当社の教育なんです。
住宅会社ではまだ珍しいと思いますが、完全週休二日制で、毎日社員・現場・職人さんが一緒になって夕方に夕礼(朝礼の夕方版・今日一日を反省し明日に備える)を行い、社員は5時には現場を出て、余裕を持って事務所に戻れるように計らっています。仕事以外の人生を大切にするためにです。 |
| 井澤 |
実際、ニューヨークスラム街の教会の合唱団「ゴスペル」を日本に招いて講演会を開催しておられたり、社員・職人さん・協力業者さんやその家族を福岡ヤフードームに集めて大運動会を開催しておられるなど、ボランティア活動にも取り組んでいる。タマホームを取り巻くみんなの意思疎通・親睦・幸せにも力を注いでいるように見えます。
それと人づくりと共に、社員がやる気が出る給与のシステムにも工夫をこらしておられる。
固定給+歩合給。歩合給が高すぎると金・金・金でお客様や周囲との摩擦が増えてしまうものですが、このバランスをどう考えているのかお聞きしたい。 |
| 玉木 |
本来は固定給だけがいいのかもしれません。でもそれだけでは励みや頑張りを認め評価に反映することが難しいものです。適度な競争心も大切です。ですから一年ぐらいは病気になっても人間として普通の暮らしができる程度を固定給として支給し、金・金・金にならない程度に歩合給を支給しています。もちろんお金も大切ですが、それだけではないことを知るために、引き渡しの時、お客様からの『ありがとう』の言葉を宝にできるような、ものづくり・創造者の達成感・誇りなどの心の教育に力を入れているのです。ですから、固定給もこの業界の中ではかなり高い方だと思う額を支給しています。 |
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| ●品質・性能と価格の両立 |
「大安心の家はトヨタのカローラが目標」
「基礎・土台・束―見えない骨格にお金をかける」 |
| 井澤 |
建材をはじめとする物価の上昇、断熱など工費がかさむ長野や新潟・東北など積雪寒冷地への進出、物価の高い神戸や大阪・名古屋・東京などの大都会へ進出しながらも、当初決めた坪あたり25万8.000円という価格を守り貫くためには、技術革新や仕入れの工夫、無駄の省略などの継続的な研究・努力が不可欠です。その秘訣をお聞きしたい。 |
| 玉木 |
創業時以来の当社のキャッチフレーズとなっている「大安心の家」。これは実は最初から40年間世界一のトヨタの「カローラ」を目指しているんですよ。高品質で安全で、庶民にも買える安価で世界中で愛される車。
もちろん、当社はまだ国内だけで、「大安心の家」も発売されて9年目。今後30年以上、全国すみずみまで、誰からも愛され高品質で安価な日本一の家を目指しています。
最初からそれを目指してきたんです。そして常にコスト削減の知恵を出し合い、毎年1つ以上のグレードアップをしてきました。今後もお客様のために価格を変えず、よりグレードアップした家を提供していきます。それが私共タマホームの、社員の夢であり誇りなのです。 |
| 井澤 |
私がタマホームを初めて取材したのが8年前。基礎・4寸角の土台、柱・束など構造の頑強さに驚き関心しました。他の部分はお金に余裕ができたらリフォームすればよい。その姿勢は今日まで一貫しています。 |
| 玉木 |
「本当のお洒落は見えない下着にお金をかけます。私も基礎や4寸角のヒノキの土台・スチールの束、健康リスクの心配がある白蟻駆除剤を使わないなど、見えない骨格部分にお金をかけ、35年の公庫融資を受けるに十分な性能・耐久性と、安全・健康を両立させているのです。最初から「適正価格が坪25万8.000円なら、その価格でプロが感心する家造り」が私の信条でした。 |
| 井澤 |
最近のタマホームを見るとさらにコストパフォーマンスが向上しているように見えます。みのもんたさんの「たくさんお金をかければ家は建つよネ。でもいい家ってたくさんお金を使わなければ建たないの?」というテレビコマーシャルのフレーズをつくづくと考えさせられます。
先月も、私の知人の建築構造専門の大学教授が、タマホームの建築現場へ行ってきて「あの単価で、あれだけ頑強な家が造れるとは!」と驚き感心していました。ところで、品質・性能と価格の両立を維持・向上するために、中国やベトナムなど海外からの仕入れ製造なども考えておられますか?また昔からの夢だったアメリカや中国への住宅そのものでの進出は? |
| 玉木 |
「お客様が求め満足する良い住宅を造る」これが我が社の魂です。そのためには中国にでもアメリカにでも出ていくし、またいいものがあれば仕入れます。現在、商社からカナダ・ロシアなどからの木材の仕入れの話もいただいており、そうした案件には積極的に耳を傾けております。住宅の海外進出に対しては、近い将来、中国なら中国人が満足する、アメリカなら、アメリカ人が満足する家造りを目指して進出していきたいと構想を練っています。 |
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| ●経営目標と方針 |
「積上げ式・足し算ではなく引き算の経営・見積り」
「会社の考えるいい家ではなく顧客が求め満足する家を」 |
| 井澤 |
普通の経営計画や見積りは積上げ方式。経営は「昨年の売上げがいくらなので、今年はいくらくらい可能だ」というように。見積もりも「この設計ならば、材料費がいくら・工事費がいくら」と積上げて算出します。タマホームの場合は倍々成長なのに、坪25万8.000円が適正価格ならばその価格が先にありきで、その価格に抑えるためにはそれぞれの材料・設備にかけられる費用、大工・左官に充てるべき費用はいくらだ、と逆算方式で算出しているのが特色です。 |
| 玉木 |
おっしゃるとおり、私どもは「足し算」ではなく「引き算」で経営しています。営業一人年間11棟受注を実現するにはどう教育するか。00年には大阪に、00年には東京に進出する為には、来年何棟受注し、どんな準備をしておかなければならないか―。そのためには今年は何人採用し、何ヵ所展示場・支店を増やし、何をしておかなければならないか、そのための手段までを明確にしておく。つまり創業時から未来計画をキチンと計算し決めています。そしてそれを必ず実行します。 |
| 井澤 |
「引き算の経営」ですか。それをずっと実行しておられることは驚きです。
今年は世間からの注目度も高まり、いよいよ売上げ1.000億超を達成すると見られています。 それに当たって社長の覚悟・新しい方針をお聞きしたい。 |
| 玉木 |
「初心忘れず」。創業時からの精神「タマホームが造りたい家・タマホームのための家ではなくお客様が欲しい家、要望するお客様のための高品質・高性能の大安心の家を適正価格で造っていく」は一貫して変わっていません。 |
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| ●自身の夢 |
「お客様から絶対に信頼される満足度ナンバー1企業に」
「健康で・仲よく・明るく・楽しく幸せに暮らす」 |
| 井澤 |
最後に玉木社長さんの人生の夢・男の夢・家族としての夢を聞かせていただきたい。 |
| 玉木 |
現在57歳。働けてもあと10年。この10年で、お客様から絶対に信頼される、満足度ナンバー1の企業になりたいですね。それに一日も早く後継にバトンタッチしたいです。いつまでも活力ある会社であるためにも。それから家造りとは建物自身を造ることではなく、「家庭造り」なんですね。「仏作って魂入れず」ではないですが、家は建物が主役ではなく、そこに住む家族が主役なのです。その為には、私自身・私の家族自身が「健康で・仲よく・明るく・楽しく・幸せに暮らす」ことこそが一番です。私も食事に注意したり・スポーツジムに通い筋肉と体力をつけ健康と体力造りに努力しており、体重も10kg減らしました。社員が3人の創業期から妻には無休で本当に世話になり、心から感謝しており、愛しています。一年に一回は妻と海外旅行に出かけるようにしています。家族あっての私ですから。
いずれ経営からはリタイヤしても、建築家・もの造りのはしくれとして、「いい家を造る」を一生のテーマとして、もっともっと勉強をしていきたいです。 |
| 井澤 |
玉木社長は我々中高年者に大きな夢を与えてくれました。社長は中高齢者の夢なのです。
またやる気のある工務店にとっては、恐怖ばかりでなく、「タマホームにない自分たちの個性・長所をどう生かし伸ばしていくか」を考え、勉強し取り組み、本当の力を付ける機会となったように思います。地方の工務店業界も、勉強しなければいけない、自分の意見を顧客に押しつけるのではなく顧客の満足を見抜けなければ行き抜けないというように変わり始めています。 健康第一に、いつまでも中高齢者の夢として頑張って下さい。 |
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